< 登場人物紹介 >


阿頼耶=斬月=久暁(あらや=ざんげつ=くぎょう)

遊廓『火燐楼かりんろう』にて鉄燈籠を作る彫金師。その生業の傍ら、ある目的のために人知れず鉄忌を斬っている。
昇陽人と砂螺さら人との混血。二十七歳。
妖月の赤鬼≠ノして儚人≠ニ呼ばれる存在。

燥一郎(そういちろう)

美貌の『火燐楼』惣名主。常におちゃらけた言動で他人を騒動に巻き込むトラブルメーカー。
久暁とは兄弟同然に育った仲だったが、ある事件を境に一方的に嫌悪され、妖怪と呼ばれている。
通称朱蜘蛛あかぐも=B

枳(からたち)

かつて『都』で一番の太夫と呼ばれた絶世の美女で、現在は燥一郎の妻。
久暁には誰よりも優しく接するが、夫である燥一郎には人一倍厳しい。
『火燐楼』の誕生と、久暁と燥一郎の軋轢を生んだ原因。

浅葱 蛍(あさぎ ほたる)

隠密衆八色やいろの黒≠フ少女。十八歳。
元は武士十家が一つ浅葱家の拾い子で、七歳より以前の記憶がない。
真っ直ぐすぎる性格と、鉄忌の身体を叩き潰すほどの馬鹿力を持つ未熟な隠密。

椿(つばき)

『火燐楼』の若衆頭を務める男。二十八歳。
五年前までは『彩牡丹あやぼたん』に属していたが、ある理由から『火燐楼』に身を置いている。
楝太夫とは仮初の夫婦、久暁とは義理≠ナ結ばれた義兄弟≠フ間柄。

楝太夫(おうちたゆう)

『火燐楼』の有名太夫で、椿の恋人。
仮初の夫婦関係にも関わらず非常に仲睦まじいが、椿の過去を何かと気にしている節がある。

利宋(りそう)

『火燐楼』と敵対する『桃源楼とうげんろう』の惣名主。
隻眼の老人だが未だその才覚は衰えておらず、自分の足元を掬った燥一郎を目の敵にしている。
『天』出身の渡来人で、かつては異国の盗賊集団婆娑羅衆ばさらしゅう≠ノ所属していた。

八尺瓊 辛(やさかに かのと)

代々左大臣を務めてきた『昇陽』最強にして唯一の術師、八尺瓊家の現当主。
『都』を封印≠オた張本人で、上都の者以外でその姿を見た者はいない。
自らを神器≠ニ称す、事実上の『都』の最高権力者。

つづら

八尺瓊が使役する十二体の式≠フ一つ。
式≠フ中では最も年長者で、茫蕭の禍≠謔闊ネ前から八尺瓊の補佐を役目としている。

九十九丸(つくもまる)

八尺瓊が使役する十二体の式≠フ一つで、『都』の偵察と鉄忌の殲滅を担う。
三対の翡翠色の瞳に、鴉の頭部と翼を併せ持つ鳥人の姿をしている。

一藤(いちふじ)

八尺瓊が使役する十二体の式≠フ一つで、八尺瓊の守護と鉄忌の殲滅を担う。
白鷺の頭部を持つ、白拍子姿の鳥人。

朱茨(あかし)

八尺瓊が使役する十二体の“式”の一つで、純粋に鉄忌殲滅の為だけに作られた存在。
見た目は年端もいかぬ幼い童女だが、能面のごとく感情に乏しい表情をしている。

八佗(やた)

右大臣家である八咫の姓を名乗る、中年の痩せた男(ただし名前は諸事情により改名)。
若い白巳女帝を援け、取り残された『昇陽』にて『茫蕭』に抗い続けている。
真実を求める神器=B

白巳女帝(はくしじょてい)

八佗が主上≠ニ仰ぐ、『昇陽』の今上帝。十九歳。
白戯ら武士十家の友人達からは親しみを込めて姫様≠ニ呼ばれている。
望まずして戦の旗印となった悲運の女帝。

かぐや

相克酒場で働く、八佗の教え子にあたる少女。十九歳。
武士十家ではないものの素質を認められ、鉄忌討伐隊への参加を許されている。
白戯・流・なずなとは幼なじみの間柄。両親は無く、一つ年上の姉とも六歳の時に死別している。

卯乃花 白戯(うのはな しらぎ)

武士十家の一つ、卯乃花家の嫡男。十八歳。
短絡で直情的な性格をしているが、主である姫様≠ノ対する思いは仲間内で最も強い。
師といえど、不遜な八佗には苦手意識を持っている。

縹 流(はなだ ながれ)

武士十家の一つ、縹家の次男。二十一歳。
幼い頃より八佗に師事し、学問を磨いてきた学者肌の青年。年下の白戯に振り回されること多し。

山吹 なずな(やまぶき なずな)

武士十家の一つ、山吹家の長女。十八歳。
れっきとした武士の娘として育てられた少女で、ともえと共に主の近衛を任されている。

二藍 皐弥(ふたあい たかみ)

武士十家の一つ、二藍家の当主。三十二歳。
流の実の叔父だが、封印≠ナ跡目を失った二藍家が縹家から養子にもらい、家督を相続させた。
白巳女帝が最も信頼を寄せる武士。

蘇芳 ともえ(すおう ともえ)

武士十家の一つ、蘇芳家の当主の姉。二十二歳。
病弱な現当主の弟に代わり、蘇芳家の顔として活動している。
なずなと同じく、白巳女帝の近衛が主な任務。

閻王(えんおう)

異国の黒衣を身に纏う巨躯の男。
六十歳近い身でありながら凶悪な気を放ち、雪女≠ニほぼ互角に渡り合うなど計り知れない戦闘能力を持つ。
外見の特徴からして砂螺人らしいが、詳細は不明。

雪女

『昇陽』にとって最大の脅威となった女。
鉄忌を率いて茫蕭の禍≠引き起こした張本人とされている。
顔半分を覆う狐面のため素顔は不明。

金輪翁(かなわおきな)

久暁の育ての親。昂令十七年に六十九歳で他界。
婆娑羅衆≠フ生き残りである砂螺人。封印∴ネ前までの呼び名は金剛。
鉄燈籠の発明者で、その制作方法と武術を久暁に教え込んだ。

阿頼耶(あらや)

久暁の実母にしてすでに故人。享年二十三歳。
八色の黒¢謾ェ家の当主にして八色の黒≠フ宗主に等しい存在だったが、婆娑羅衆≠ニの争いの最中に
行方をくらまし、久暁を生む前に死去したという。

鳴滝(なるたき)

黒狗山にて人目を避けて暮らす研磨師の老人。通称百舌の鳴滝=B
“婆娑羅衆”が黒狗山を根城にする以前からその地に追われ、住み着いていた罪人。

千克(せんごく)

燥一郎の右腕として働く『火燐楼』の青年。二十五歳。
党内の管理運営のみならず、他党や上都からの情報を収集しそれを燥一郎に伝える役目を担う。

軒葉(のきば)

『火燐楼』の遣り手婆。四十八歳。
党内の者からも意地の悪い年増女として嫌われているが、実は婆娑羅衆≠フ生き残り。

緑鈴(りょくれい)

『癒城』の外れで酒場を営む女主人の内の一人。四十四歳。
『天』出身の元“婆娑羅衆”の一員で、封印′繧ノ恩赦によって八佗の部下となった。

しじま

『癒城』の外れで酒場を営む女主人の内の一人。四十八歳。
元八色の黒¢謫家の当主で、現在は緑鈴の監視を任されている。

卯乃花 正隆(うのはな まさたか)

武士十家の一つ、卯乃花家の当主にして白戯の父。五十五歳。
猪突猛進型の性格な上に、八佗に対しては強い反発を抱いているが、白巳女帝に対する忠誠心は人一倍篤い。
蛍の養父である浅葱善也とは、自他共に認める好敵手の間柄であった。

卯乃花けいか(うのはな けいか)

卯乃花正隆の正妻にして白戯の母。五十歳。
夫・正隆と違い、八佗には一定の理解を示している。非常におっとりとした所謂良妻。

縹 堂兼(はなだ どうけん)

縹家当主の弟にして皐弥の実兄、流の叔父にあたる学士。三十六歳。
日頃は『昇陽』の内政を担っている。

蘇芳和士(すおう かずし)

武士十家の一つ、蘇芳家の当主にしてともえの弟。十七歳。
当主となって日が浅い上に病弱であるため、武家としての活動は姉のともえに任せている。

あさひ

かぐやの一つ年上の姉で、すでに故人。享年七歳。
文武両面においてかぐやよりも優れた資質を持っていたらしいが、ある事故により命を落とす。


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