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火気取締り(かきとりしまり)

『都』において最も厳重な警戒を布いている禁止法。水源が限られている『都』では、小火といえども大火となる恐れがある為、火の使用は固く禁じられている。代わりに用いられるようになったのが鉄燈籠の核=鉄忌の眼球部分だが、鉄燈籠を忌み嫌う久暁だけは密かに蝋燭を使用し続けている。

火燐楼(かりんろう)

下都で最も新しく興った一党。党首は燥一郎。元『白梅廊』の領域をそのまま用いており、属する者は元『白梅廊』と元『桃源楼』の人間が大半を占める。最低限のルールの遵守には厳しいがそれ以外には寛容なので、無頼にしては侠気があると一部では敵方にも人気がある。一方で相手が客であろうと商売敵であろうと下手に媚びようとはしないので、睨まれることも多い。よって物資を得るのは決して容易くはないが、鉄燈籠の独占生産により五つの勢力の中でも優位な立場を保っている。名前の由来は蓮華屋の中央にて花開く、緋桜の大木から。

起動式(きどうしき)

「世界の真理」を物理的に干渉可能な形として操作するための力。一般的には単に術と呼ばれ、『昇陽』では神器≠フみが扱える奇跡。ただし一部の式≠ヘ八尺瓊から簡易の起動式を授けられ、これを用いる事ができる。

綺羅乃剣(きらのつるぎ)

人や自然界にあるものには何の影響も与えないが、鉄忌を斬る事ができる剣。通常はただの銀色の筒にしか見えないが、戦闘時には銀色の両刃が生じ、淡い白緑色の炎のような光を放つ。刀身で斬ることは出来ず、その炎に触れることで切断が可能になる。久暁はこれに鉄鎖術を組み合わせたり、光だけを飛ばして鉄忌を斬るなど、状況に応じた様々な戦闘術を考え出している。『昇陽』の神器≠ナあったのだが、過去に婆娑羅衆≠ノよって上都から盗み出されて以来、行方不明となっていた。

黒狗山(くろくやま)

『都』を囲む三方の山の内、北東に位置する神域の山。山にある木々は全て桜の裸木ばかりで、封印¢Oから一度も花を咲かせたことがない。その為この山に近づく昇陽人は滅多におらず、よって婆娑羅衆≠フように追われる身の上の者にとっては格好の隠れ家となっていた。久暁と燥一郎、そして金輪翁も昂令十七年まで暮らしていたが、現在この山で生活する人間は百舌の鳴滝を中心とした、『都』の徒党争いを避けた僅かな者達だけである。

黒砂漠(くろさばく)

『砂螺』の一部地域、またはそこに住む一部族のことを指す。。文字通り黒い砂が広がる砂漠地帯で、そこに暮らす部族は長身で浅黒い肌、黒髪に長い紅色の瞳を持ち、黒い色彩を部族の色と定めている。凶暴性がひときわ高く、他部族間の領域もお構い無しに侵犯するので、砂螺人の中でも異端扱いを受けていた。また砂螺人特有の性的欲求に伴う攻撃衝動がより過剰であるため、一人の子を成すのに七人の死人がでるとまで言われている。

結婚制度(けっこんせいど)

『都』において火気取締りと並び、特に厳しく管理されている規制。『央都』一つを残して封印≠ウれた土地には物資が圧倒的に不足しており、その供給ラインが確立した後も、動乱期とそれによる反動で人口が激しく増減した。これを一定値に保つために『都』全体に布かれたのがこの制度である。これにより上都の者は左大臣から直接、下都の者は各党の判断に応じて人口調整の為、婚姻には特別の許可を得ねばならなくなった。これがなければ子は生せず、理由が何であろうとルールを破った者は厳罰に処される。また遊女に関しては各党共通して所属する女性に数年間の奉公を義務づけているため、これが期限となるまでは婚姻の許可を得ても同衾は許されない。ただし『火燐楼』だけは『都』の生命線とでもいうべき鉄燈籠の生産を掌握しているので、密かに同衾を黙認するなど、若干規制は緩和されている。



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