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太極月(たいきょくげつ)

『都』の上空の昇る、紅と蒼の色で二分された満月。その互いの色が半々になっている状態を指す名称。本来の月にあるクレーターは見られず、満ち欠けもしない。代わりに、日が経つごとにそれぞれの色が満ち欠けするように割合を変え、それが鉄忌の出現する確率と数に関係する。具体的には紅色の部分が半分以上の時は、その割合に比例して鉄忌も数多く出現し、蒼色の部分が多い時は全く現れない。太極月はその中間で、現れるかどうかという程度の危険度。光の三原色の関係上、紅と蒼に見える月光は、地上においては紫がかった光に変わる。
実の所、これは月ではなく本来の世界での太陽に封印≠ノよる結界の強弱で色彩がついているように見えているだけ。結界の維持には強大な力が必要なため、長期的に継続させる為にも八尺瓊は定期的にパワーダウンをせねばならず、その力の変動によって色が変化しているのである。

鏨(たがね)

金工工芸における彫金作業には欠かせない道具。細長い十五センチほどの鉄棒の先端を潰したり丸くしたり尖らせたりと様々な形状に変え、それを彫金の用途に合わせて使用する。主に金槌で叩く、地金を削るなどして彫刻を施すのに用いるのだが、久暁が手にすれば投擲用の暗器にもなる。

直感力(ちょっかんりょく)

説明や証明を経ないで、物事の真相を心でただちに感じ知ること。特に作中では、確たる根拠が無いにもかかわらず最良の結果を導き出せる、微弱な予知の前段階ともいえる能力を指す。単純に言ってしまえば野生の勘。砂螺人は特にこの能力に優れており、久暁や閻王が戦闘で最も頼りにしている力である。また、構造を理解してもいないのに鉄燈籠が作れるのも、この能力のおかげだったりする。

円家(つぶらいけ)

上都にて、八尺瓊・八佗を除いては最も権力を有していた上流貴族の一族。封印≠ノより権力は衰えたものの未だに発言力はあり、八佗や武士十家達にとってはしばしば手を焼く存在となっている。また、封印∴ネ前よりの保守的左大臣派であったため、右大臣派であった奉家とは当然のごとく折り合いが悪く、奉家の系譜である白巳女帝のことも快く思っていない節がある。

天(てぃん)

東大陸に位置する大国で、『昇陽』の最隣国。イメージ的には中国・明時代。『昇陽』と似た文化を持つが、内紛が絶えず王朝交代も頻繁に起こり、国外からの異人移住も多いため、その様相はかなり変化しつつある。天人の容姿は昇陽人とさして変わらないが、特徴として満十歳になると片目を抜く手術を施し、個人の紋入りの義眼を嵌めるという風習がある。義眼はちゃんと視力を備えた物だが、これが一種の個人識別標となっており、これを嵌める者は総じて王≠フ監視下にあることになる。利宋、緑鈴らはこの国の出身。

鉄忌(てっき)

『茫蕭』が『昇陽』攻撃の尖兵として作り出した半生物兵器。元々は野生の動物だったものが、体表組織が硬質化する現象により鉄忌となる事が分かっている。通常の刀剣類では歯が立たない、鉄の外殻を持つ獣のような姿をしており、内部は赤黒い体液で満ちている。この体液は温度が零度近くと極めて低温で、通常の生物の体液と違い、外気に触れても凝固・気化しない。外殻内でのみ瞬間的な凝固・溶解作用を繰り返すことで体組織を構成し、行動を可能にしている。体組織構成の伝達を送っているのは赤く光る眼球部分で、エネルギーが最も蓄積されているため『都』の重要な資源として様々な形で利用されている。

鉄燈籠(てつとうろう)

鉄忌の残骸から作られる燈籠。光源は鉄忌の眼球部分。生産は『火燐楼』の独占となっている。燈籠に用いる場合は光源のエネルギー放出量のリミッターを最小にしているが、他の物資生産や火の代用品として用いる場合は、それぞれの用途に合わせて最大放出量を調節している。

桃源楼(とうげんろう)

下都の坤区一帯を牛耳る一党で、五つの党の中でも最大勢力を誇る。党首は利宋。一番最初に自治支配の基礎を作ったため、他の党からも一目置かれている。だが権力意識が強く、いずれは下都全てを支配下に置こうと画策しているので、禁制である煙草の改良栽培や、他党との不正物資取引、時には密かにスパイを放つなど裏工作に余念がない。遊女達に対する規制は厳しく、完全に商品扱いをしている為、内部でも反感を抱くものは少なくない。



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