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八色の黒(やいろのくろ)

武士十家とは別に、『昇陽』の平和維持のために作られた隠密集団。その正体は極秘とされ、武士十家だけでは解決できない障害をその裏側で抹消していた汚れ役である。創設者は八佗。八色の黒≠ニいう名前から分かるように、全部で八つの家系から構成される。婆娑羅衆≠ニの戦いの最中に茫蕭の禍≠ェ起き、わずかな残党を残して壊滅したとされているが……
八つの一族の通称および階位は以下の通り。数字が大きいほど上位となっている。
第八家 不在あらずの阿頼耶
第七家 不定さだめずの末那
第六家 不思おもわずの意
第五家 不触ふれずの身
第四家 不食くわずの舌
第三家 不嗅かがずの鼻
第二家 不聞きかずの耳
第一家 不見みざるの眼
一方八色の黒≠フ利便性を認めていた八尺瓊は、下都の乱れっぷりに終止符を打つため独自にこれを再編。浅葱家の養女・蛍を新たな黒≠ノ任命した。

野狂洞(やきょうどう)

閻王が住処としている洞窟。かつての坑道をそのまま居住区として利用しており、その内部の壁面には至る所に咒符が貼りつけられている。坑道跡を辿れば、地上にある『癒城』や他の居住区へと人知れず侵入することも可能だったそうだが、閻王が捕縛されてからは出入り口一つだけを残し、他は全て八佗の命令により封鎖されてしまっている。

遊廓(ゆうかく)

下都の大半を占める歓楽街。各勢力によって性格も様々であるが、大概は上都の貴族向けとして作られているため、物資が少ない中でも、これだけは最優先にと絢爛豪華な世界を作り上げている。上都では八尺瓊が直々に人口管理を行っている上に、支給される避妊薬も害悪として女が受け付けないので、貴族の男達は欲求不満を晴らすため一応はお忍びという形で女を買いに訪れている。封印∴ネ前までは帝の街を穢すとして、『央都』での売春は厳重に処罰されていたが、封印′繧フ動乱期にほとほと手を焼かされた上都の人間は、これ以上の不満は押さえつけられないと遊廓を黙認した。以来、名前の力だけはある貴族を上手く抱え込もうとする各党首達にとって、遊廓は必要不可欠な施設となった。

癒城(ゆしろ)

『昇陽』の西沿岸地帯にある街。封印∴ネ前はしがない貿易中継地点だったが、現在は対『茫蕭』の中心拠点となっている。白巳女帝の生誕地でもある。名の由来はこの地で温泉が湧くことから。『昇陽』に活火山はないので、この島国の近海には海底火山があると考えられる。

妖月の赤鬼(ようげつのあかおに)

黒狗山に現れる怪物の名称。正体は人知れず鉄忌を斬っていた久暁なのだが、たまたま目撃した人間がその様を噂した結果、内容がかなり誇張されてしまった。と言っても、噂を聞いた者はそれこそが八尺瓊の式≠セと勘違いをしたので、真相を確かめようとした者はいないらしい。

黄泉呼び(よみよび)

昂令二十二年に下都で起きた、謎の連続怪死事件。健康体だった各勢力の幹部が外傷もなく突然死したことから、「寿命の前にお呼びが来た」という意味でこう呼ばれるようになった。原因不明のまま変死も止んだため、現在では一種の怪談と化している。



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